DVD video 豆知識

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DVD video フォーマット関係の豆知識を披露します。

リージョンコード設定<

DVD にはリージョンコードというものがあります。 全世界をいくつかの区分に別けて、それぞれの区分専用で他の区分では再生できないディスクを作れます。

普通の人がパソコン用の DVD オーサリングツールを使うと、リージョン指定無しで、全世界で再生できるディスクができます。

以前ここに 『Windows 用のフリーソフトを使ってリージョン指定コードを追加できる』と書きました。 でも読者の指摘があったので調べてみたら、最新版ではリージョンの削除はできても追加機能はないみたいですね。 間違った情報を書いてしまったことをお詫びします。 以前リージョンコードを試験で追加したような気がしたけど、あれは勘違いだったのだろうか。 それとも古いバージョンではできたのかな? どちらにしても、最新版ではできません。

リージョンコードを無視するプレーヤー

リージョンコードは、コピープロテクトではないので解除しても違法ではありません。 市販のプレーヤーの中には、リージョンコード指定を無視して再生するものがあるようです。 近所の電器製品量販店に行くと、リージョン指定無視できると書かれたプレーヤーを売っています。 私自身は使用したことが無いので、詳しいレポートはできません。

ビデオ信号形式

ビデオ信号は、全世界共通ではありません。

が主な形式です。

日本向けに DVD video を作る場合は、NTSC フォーマットを選択しましょう。

それぞれに互換性はありません。 昔、海外旅行に行って買ってきたビデオテープを自宅で再生できないという話がありましたが、DVD の時代でも同じことが起きます。 MPEG2 ファイルの時点で、記録されている信号形式が違います。

再生する DVD デッキ側で、この信号変換をしてくれるものがあります。 こちらも私には使用経験がありませんが、量販店で堂々と売っていますので、店員に聞いてみて下さい。

ハイビジョンの時代になって全世界でビデオ信号が統一されるかと思ったら、また規格が分裂してしまいました。 なんでもヨーロッパに US製や日本製のハイビジョン家電が溢れないように、わざと別規格にしたそうです。 でも、それって US や日本が各国向けのハイビジョン製品を作り分けて、ヨーロッパの家電メーカーが、自社製品を US や日本に売れなくなるだけのような気がします。

だいたい日本や US からのTV中継で、フォーマット変換によって画質が劣化すると文句を言っているのは、ヨーロッパの人のような気がしますけど。 私も、ヨーロッパやアジアからのTV中継で、フォーマット変換による画質の劣化が気になる方です。

フィルムから起こした動画

日本のビデオは1秒29.97コマですが、映画のフィルムは1秒24コマです。 フィルムから起こした動画を MPEG2 に変換して扱う場合、変換ソフトに「この動画は1秒24コマだよ」と教えてあげると画質が良くなる場合があります。 変換ソフトが対応していないと意味が無いですけど。

書き込みメディアの互換性

自作の DVD video を人にプレゼントする場合は、メディアの選択に気を使いましょう。 メディアの再生互換性は、以下の通りです。

例えばプレイステーション2 では、±R は再生できますが、±RW は再生できません。

自分専用だとか、パソコン専用にするとかの工夫で使用状況を限定することが不可能なら、±R メディアを使用するのが無難です。

メディアと書き込みドライブの組合せ

安物メディアは避けよう

量販店やパソコンショップに行くと、10枚 1200円くらいでノーブランドの DVD-R を売っています。 これは、書き込み試験くらいにしか使えません。 書き込み直後は読めるのですが、時間が経つにつれてエラーが増えます。 大事な画像の記録に使うのは止めた方がよいです。

書き込み速度に注意しよう

DVD-R ドライブだけでも書き込み速度に、1倍、2倍、4倍のバリエーションがあります。 対応する速度のメディアを使わないとトラブルの元になります。 4倍速ドライブでの4倍速書き込みに4倍速のメディアが必要なのは当り前ですが、低速ドライブには低速専用のメディアを使用した方が無難です。 違う速度の組合せによって、書き込みに失敗した知人がたくさんいます。

なお古いドライブと新しいメディアの組合せの場合、ドライブのファームウェアバージョンアップによって書き込めるようになる場合もあります。

自分の環境で書けるかどうか気になった場合は、ドライブやメディアのメーカーの web サイトをチェックしたり、サポートに問い合わせましょう。

マルチプロセッサは有効か?

お金持ちでコンピュータに詳しくない人がノンリニアビデオ編集のためにマルチプロセッサマシンを購入することがあります。 はっきり言って、その効果は疑問です。 マルチプロセッサが有効なのは、CPU を酷使する仕事を同時に二つ以上走らせたときです。 MP3 を再生しながらワープロを打つとか、DVD を書き込みながらネットサーフィンをするなんて時にはCPUの能力をあまり使わないので1個で充分です。 ビデオのフォーマット変換にはたしかにCPUパワーを使いますが、CPUが二つあったとしても同時に二つに仕事を割り振るフォーマット変換プログラムが無いので、余ったCPUが遊んでしまいます。 そんなお金があったら、メモリ速度を早くすることと、CPUクロックを早くすることに使いましょう。

先の文章を書いたときには、マルチプロセッサで動作するビデオフォーマット変換ソフトはありませんでした。 2004年4月現在、マルチプロセッサを駆使するソフトがいくつか出てきているようです。 私は対応ハードもソフトも持っていないので、詳細をお知らせできません。 興味のある方は、パソコン雑誌でチェックされることをお勧めします。

変換したいビデオファイルがたくさんあるときには、安いマシンをたくさん並べて同時に作業させた方が効率的です。 もっともビデオプロダクションでもなければ、マシン場所を確保できないでしょうけど。

Pentium4 のHT機能は、ビデオ編集に有効なようです。 HT 機能を有効活用するビデオフォーマット変換ソフトが売られていますので、 そういうソフトを選択して使いこなしましょう。

独り言
2003年7月現在、量販店に並んでいる VAIO に、HT を説明するフラッシュが入っています。 再生してみましたが、このフラッシュ ダメダメです。 途中で切れている説明があるし、説明が予告もなく無限ループに入ります。 「時間がかかるビデオのフォーマット変換中に、CPUパワーを使う3Dゲームができます。」という説明も変。 普通、ビデオのフォーマット変換も3Dゲームも、他のソフトを止めて単独で実行します。 そうしないとフォーマット変換は余計な時間がかかるし、3Dゲームは表示が遅くなりますから。 しかも、同時にやっていて3Dゲームのせいで Windows がハングしたら、フォーマット変換は最初からやりなおしでしょう? フォーマット変換中にゲームをやりたくなったら、プレイステーションで遊んだ方がよっぽどましです。 また、HT機能は「無尽蔵にCPUパワーを要求するアプリケーションに向いている。」とか言っていますけど、「無尽蔵にCPUパワーを要求するアプリケーション」なんてあったら、どんなに早いCPU を持ってきても無意味だと思います。 だって「無尽蔵」なんでしょう? 最近おかしな広告をうつ会社が増えたなぁ。 ライトついてる?

古いCPUを使っている人には、CPUのグレードアップを勧めます。 ビデオのフォーマット変換には、CPU の SIMD セクションを酷使します。 MMX とか 3D Now! とかの拡張命令がたくさん入っている新しいCPUの方が同じクロックでも早くなるはずです。

Linux では、ほとんどのソフトがCで書かれているので、拡張命令は有効活用されません。 たまにアセンブラで記述されたソフトがあって、SIMD セクションを活用していますが、 そのくらいやらないと Windows 用のソフトにたちうちできません。

ちなみに、CPU の話は、フォーマット変換をするときの場合です。 ただ動画を切ったり張ったりする場合には、HDD との入出力速度が問題になるので、serial ATA とか RAID のストライピングとか、回転数の早い HDD を買うのが得策でしょう。

規格外製品<

DVD で使用している MPEG2 の技術は非常にデリケートです。 仕様通りに圧縮、展開できるソフトを組めるエンジニアは、世界でも数百人位しかいないでしょう。 その結果何が起きるかと言うと、仕様から外れたデータが記録されたディスクや、市販ソフトをきちんと再生できないプレーヤーが販売されるのです。

初期の製品には、ソフト、ハードともにひどいものがありました。 初期型のプレイステーション2も Linear PCM 音声ならば再生できるのに、圧縮した音声だと再生できなかったりしますし。 最近はだいぶ良くなったようですが、今度はコストダウン競争のおかげでまた変な製品が出てきています。

また、金と技術を大量に投入できる国でマスタリングしたソフトは安定しているのですが、零細企業が乱立している国でマスタリングしたソフトは規格外のデータが入っていることが多いです。 チャプター移動ができなかったり、映像の記録時間を表示できなかったり、早送りができなかったり、プレーヤーが誤作動したりするものもあります。

プレーヤーをテストするために、DVD video がサポートするあらゆるフォーマットを記録したメディアを用意して、再生できるかどうかで判定すれば良いと思います。 その逆に、記録されたフォーマットが DVD 規格に合っているかどうか判別するソフトも有効でしょう。 規格をオープンにすればこんなツール誰かが作ってくれるのですが、秘密主義を貫いているくせに自分達が作った規格さえ充分に使いこなせないのは、みっともないです。 それとも初期の製品に規格外のものがあることを知られたくないのかな。

未確認情報

人から聞いた話なんですけど、DVD 書き込みメディアの中には、1GB 以上のデータを書き込まないと再生できないものがあるそうです。 そのメディアに Windows で1GB未満のデータを記録すると、書き込みツールが自動的にパディングしてくれるのですが、Linux ではパディングしてくれないので失敗するそうです。 確認したわけではないので、本当かどうかわかりませんが。

DVD video フォーマット規格

DVD video のフォーマットには、UDF と ISO13346 が関係しています。

その関係は、ISO13346 ⊃ UDF ⊃ DVD ⊃ DVD video となります。 ISO13346 は、一般的なフォーマットの1種です。 UDF は ISO13346の規格を守りながら、制限を加えた光ディスクの規格です。 書き足ししても以前に書いたファイルが読める CD-RW や DVD-RAM なども UDFに含まれます。 DVD では UDF ブリッジというフォーマットが用意されていて、UDF ファイルシステムが読めなくても ISO9660 でマウントできるように両方のファイルテーブルが書き込めます。 Linux で DVD video を ISO9660 でマウントできるのはそのためです。 ただし、UDF ではファイル名に 圧縮した Unicode が使用できるので、ISO9660 ではファイル名が文字化けしてしまうケースもあります。 しかも UDF の unicode ファイル名は独自の圧縮がかかっているので、mount する際に utf8 オプションを指定しても日本語ファイル名は読めませんでした。

DVD 関係のフォーマット資料は、規格団体に入らないと入手できません。

UDF は、OSTA という業界団体が策定し、無料で英語の仕様書が入手できます。 ただし、ISO13346 で規定されていることに関しては書いてありませんので、UDF の資料だけではフォーマットの全体像はわかりません。 UDF ではファイルの長さは 30bit で表現することになっています。 DVD video の VOB ファイルが 1GB弱の複数のファイルにわかれているのは、ここに理由があります。

ISO13346 はオープンな規格ですが、仕様書は有料です。 JIS が英語版の規格書を数千円で配っていますけど、高価なので私はまだ入手していません。

プレイステーション2 と DVD

プレイステーション2には、DVD video の再生機能があります。 しかし、普通の DVD プレーヤーと同じだと思ってはいけません。

まず、応答速度が遅いです。 VHS のビデオデッキよりも遅いです。 リモコンのボタンを押してから、ワンテンポずれて変化が起きます。

次に、2層 DVD の再生時に、1層目から2層目に切り替わるタイミングで、画面が瞬間的にポーズ状態になることがあります。 「アルマゲドン」のレンタル DVD を再生しているときにこの状態になりました。

中途半端に消去された DVD

DVD-RW に一旦書き込みを行うと、別のデータを書き込む前に消去作業が必要となります。 この消去作業が中途半端に行われることで、DVD-RW が使用できなくなることがあります。 途中まで消去されているので、消去コマンドを実行すると「すでに消去済なので消去不要です」と言われ、書き込もうとすると「このディスクは消去されていません」と言われてしまいます。 こんなときは、Linux 上の dvdrecord コマンドが使えます。 dvdrecord コマンドは、消去前にいい加減なチェックなど行わないので、強制的に消去することが可能です。 もしも中途半端に消去された DVD-RW で困っている人は、試してみてください。

2003年7月18日 初出

2004年10月28日 追記


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